「舟を呼び、舟に呼ばれる」展

2025/4/26(土)〜6/15(日) 出品作家:安藤榮作/黒宮菜菜/嶋田ケンジ/中津川浩章/米谷健+ジュリア ● 4/26(土)16:30~Talk Event (出品作家6名+仲野館長) ● 4/26(土)17:30~19:00 Opening Reception 協力: ミヅマアートギャラリー、椿やグループ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「舟を呼び、舟に呼ばれる」 現代社会だけでなく古代社会においてさえ人間・表現者は「舟」をメタファー、隠喩として様々に使って来たのではないだろうか。 日本列島は海に囲まれている。縄文の時代から丸木舟による海洋文化の交流は盛んであっただろう。 また日本には、「戸板一枚下地獄」という言葉がある。この言葉から日本人が、自然からの豊穣の裏側に自然の脅威を感じながら生活し続けてきた民族であったことが分かる。それは古代日本の神話世界においても同様だったろう。異界との交流においてさえ。 今回、京都場は現代の日本人に向けて舟をテーマに制作している5人の作家を紹介する。 黒宮菜菜は「舟をテーマに展覧会をやりたい」と言い、展覧会の端緒を開いてくれた作家。最近は古代日本の記紀万葉の言葉や古墳時代の壁画などのイメージから自身の作品を制作している。 安藤榮作は手斧で木を刻み、打痕の集積で作品を作っている。2016年「約束の船」という個展を開催。東日本大震災からの海との関わりの作品も多い。 中津川浩章は「舟」というモチーフを「樹木」と同じくらい大切に考えている。フィンランドで展示した作品「光の船団」はタイトルからも彼のメッセージが読み取れる。 米谷健&ジュリアは昨年の「明日の遺跡」という架空の古代遺物を野焼きで創作して縄文やシュメールを想起させながらも現代の私たちに警鐘を鳴らしている。 嶋田ケンジは旧約聖書の「ノアの方舟」から現在は主に「テセウスの舟」のシリーズを制作。パラドックスの語源にもなっているギリシャ神話の舟を陶芸で作る。 混迷の現代、私たちを乗せた舟は何処に向かうのだろうか? 京都場館長 仲野泰生 (元川崎市岡本太郎美術館学芸員) ・・・・・・・・・・・・・・・ 「舟を呼び、舟に呼ばれる」展 によせて 〜黒宮菜菜〜 生まれ育った家の近くに海や川があったわけでもなく、親族や知り合いに船乗りや港勤めの人がいたわけでもなく、どちらかといえば身近な生活から掛け離れたところにある舟の存在に、何故こうも惹きつけられるのか。ただ、舟には、交通、運搬といった日常の乗り物としての機能を超えた神々しさがある。舟の存在が気になりだしたのは、ヤマト言葉の「うつ」という言葉が持っている日本の自然観や神観念に興味を惹かれだしたころからだ。「うつ」とは、刳り抜かれた中空のところに、何かが入ってきて充満し、また出ていく、といった自然の循環のようなものを表す日本の言葉だと言われている。「うつろ」や「うつほ」といった刳り抜かれた状態のものを指す語や「うつわ」といった中空の入れ物を指す語は、この「うつ」を語根に派生したとされる。遥か昔、呪術を担うシャーマンは、腰に幾つもの鐸をぶら下げて、それをジャラジャラと鳴らしながら、何かがそれに降りてくる(入ってくる)を待っていた。鐸も中側が刳り抜かれた中空の道具である。そこに何者かを一時招き入れ、再び出ていってもらうことで、さまざまな人ならざる者からの啓示を聞いていた。舟もまた刳り抜かれた中空の構造物である。その作りは、車や電車や飛行機といった完全に蓋が閉められる密閉の乗り物とは異なる。現在の大型船であっても、船室から甲板に向かっては幾つもの内と外を繋ぐ構造があり、一歩足を踏み出せば甲板から先の大海原の脅威に身ごと対峙することができる。日本の古い家屋のように自然と構造物との境界が曖昧な乗り物なのだ。内と外を繋ぐ蓋のない中空の構造物。まるでシャーマンが鳴らしていた鐸のように。舟の歴史は太古から現在までと長く、それに纏わる伝承、伝説、神話、遺跡が多いことからも、舟がさまざまな形で人々のイマジネーションの源流となっていたことが分かる。表現者もまた例外ではなく、今もなお、舟を題材にした幾つもの作品が世界中に存在する。わたしたちは、「舟」にどのようなメタファーを込めることができるだろうか。海にぐるりと囲まれた島国である日本ならではの観点から「舟」について今一度考えてみたい。 ・・・・・・・・・・・・・   <出品作家プロフィール> ◾️安藤榮作/ EISAKU ANDO 1961 年、東京下町生まれ。 1990 年より福島いわき市に移住し山の中に15 年海沿いに5 年住み、半自給自足をしながら彫刻とサーフィンに没頭する。3・11の津波と原発事故で被災し奈良県に避難移住する。斧一本で原木、廃材、流木、あらゆる木を叩き、具象抽象を超えて生命エネルギーを刻み出している。 ◾️黒宮菜菜/ NANA KUROMIYA 1980 年 東京都生まれ 2009 年 京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻(油画)修了、2015年 同大学博士号( 芸術学) […]

【EVENT】「打痕とストローク」

<こちらのイベントは定員に達しましたので受付を終了しております。> 【イベント】「打痕とストローク」限定40名様 彫刻家・安藤榮作と美術家・中津川浩章によるライブ&パフォーマンス&トーク 日 時:12月11日(土)15時〜17時 料 金:1,000円 <注意> 参加料は当日受付にてお支払いくださいませ。 また、マスクの着用をお願いいたします。 現在、コロナ感染が落ち着いてはおりますが、 万が一コロナ感染が蔓延し開催が危険と判断した場合にはイベントが中止となる場合もございます。 ご理解のほど何卒よろしくお願い申し上げます。