2019年6月8日(土)~6月30日(日)

*月曜・火曜休館

Introduction

人間はある意味で、「みんな移民である!」と考えてみよう。 近代・西洋的な「歴史」という概念が生まれ、そこから「国や国境」が生まれてきたのではないだろうか。高度資本主義が行き詰まりを見せて いる現代に、私たちはそれぞれの国のそれぞれの土地に住んでいる。そんな今こそ、それぞれの土地の先住の人々の生き方と知恵を学ばな ければならない時に来ているのかもしれない。例えば北海道のアイヌ民族のことを私たちは、どれだけのことを知っているのだろうか? 今年、イギリスの大英博物館で紹介された「The Citi Exhibition Manga」展の中で、アイヌと日本人の文化と関係性を素材にしているマンガ 「ゴールデンカムイ」が展示されていた。日本でもアニメ化され、大人気の漫画だ。日本の中のアイヌの人たちは異質の日本人なのか。 アイヌとは元々、「人間」という意味だそうで「神・宇宙」と「大地・自然」を繋ぐ存在だったらしい。当然、アイヌの人々には国や国境という考えは希薄だったに違いない。ところが現代は、ある国の大統領が言ったように「自国ファースト」の考え方が、世界中に蔓延しているようだ。 その大統領が自国とメキシコの境に壁を作った。もともとはメキシコだった土地も含めて壁という国境を作った。先住の歴史や文化など 彼には関係ないのだろう。 ところでメキシコは何十種類の民族と何十種類の言語を持つ国である。そもそもメキシコ合衆国という枠には収まらない民と土地だった。 オルメカ、マヤ、アステカなどの民族と文化がそのことを物語っている。そして16世紀にメキシコはスペインという国に征服された。 今回の京都場では、そんなメキシコに住むメキシコ人アーティストと日本人のアーティストたちによる「移民」をテーマにした展覧会を 開催します。メキシコとアメリカとの国境の壁を拓本に取った作品から、日本から移民としてメキシコに渡り、その一世から三世までの 祖国日本について聞いたインタビュー映像の作品。メキシコ人自身によるメキシコの今を切り取った作品などなど。 「移民」の問題を、アートを通じて、「令和の時代」に生きる日本人に問いかけます。是非、ご高覧ください。

京都場 仲野泰生

<参加アーティスト>
*TOP画像作品: Queremos paz グアダルーペと折り鶴 
矢作 隆一 Ryuichi Yahagi (1967年・川崎市生まれ。1995年よりメキシコ在住)
金沢美術工芸大学美術学科彫刻専攻を卒業後、1995年よりメキシコ ベラクルス州在住。
2010年メキシコ国立自治大学サンカルロス美術大学院都市芸術学科卒業。
現在はベラクルス州立大学造形美術研究所に所属、 同大学准教授。
日本人としてメキシコで経験したこと、感じたことを彫刻やインスタレーションを通して表現している。
また両国の文化交流の企画、 コーディネートも手がけている。美術家を志す以前に
大阪あべの辻調理師 専門学校を卒業し調理師として働いていた経歴も持ち、 
食材を素材とした作品の制作やワークショップ等も行っている。

1.フェルナン ゴンザレス Fernán González(1987年・ハラパ市生まれ)
身体を着飾る行為を題材にし、社会や政治および文化的問題をテーマに制作活動をしている。
その一方で展覧会等のキュレーションやデザイナーとしても活動している。
またキューバのハバナにある高等芸術大学やメキシコのベラクルス州立大学などで講師としての経験を持ち、
ニューヨーク、パリ、東京、メキシコシティなどで作品の発表をしている。2014年から2017年には
ベラクルス州立学文化広報センターにて視覚芸術プログラムを担当。現在はベラクルス州の州都である
ハラパ市の市長の直属の秘書として文化を通して社会の向上に努めている。

2.はぎの みほ Hagino Miho(北海道出身・1996年よりメキシコシティに在住)
タロウ・ソリジャ Taro Zorrilla(メキシコ生まれ  早稲田大学建築学科卒)
作品の中で彼女は地理的、歴史的、身体的、アイデンティティ的
または社会環境により隔離された個人に傾注しながら、人間の本質そして大衆の中の個人についての探求を
行っている。はぎのは、多様な表現手法と多角的な活動形態を併せ持つアーティストである。表現手法においては、
ビデオ、写真、レジン、セラミックなどのマテリアルを多様し、コンセプチュアルアートから、インスタレーション、
パフォーマンス、彫刻、パブリックアートまでを手がける。

3.岡田 杏里 Anri Okada(1989年・埼玉県生まれ)
2016年 東京藝術大学修士課程壁画専攻修了後、平成28年度ポーラ美術振興財団在外研修員として
メキシコ・ベラクルス州立大学美術研究所にて研修。主な展覧会、個展「EL MUNDO LLEGANDO A…」
(2016-17/メキシコ)、ポーラミュージアムアネックス展2018、(東京)、いちはらアート×ミックス2017(千葉)。
みなかみ町長奨励賞(2017)、杜賞(2016/東京芸術大学)、平成26年度石橋財団国際交流油画奨学生
(東京芸術大学)受賞。2014年から中南米やアジアの小学校で壁画アートプロジェクトを開催している。

4.ラウル ラモス Raul Ramos(1988年・ハラパ市生まれ)
二つの社会経験を通して芸術的表現を模索している。その一つに本職とも言えるレントンゲン技師という
側面があり、そこには光と影の厳密な対照が存在する。もう一方はハラパ市の文化事業に関わり、さまざまな
展覧会を始めとする文化事業をサポートしている。デジタル写真の技術や家具のデザインまで、この仕事で
得た経験を作品に生かしている。今までにキューバ、フランス、メキシコ等で作品を発表している。

5.大井パベル Pável Oi(1977年・メキシコ生まれ。3歳より京都で育つ。)
京都精華大学卒。現在、メキシコ国立自治大学博士課程に在籍中。
大井が作り出す作品は、文化の融合から生み出される美しさだけではなく、 
両国に根差した深い精神性をも表わしている。

6.今 道子 Michiko Kon(1955年・鎌倉生まれ)
1991年木村伊兵衛賞受賞。個展多数。近年の主な個展に「RECENT WORKS 2018」 PGI (東京 2018年)、
「Naturaleza Muerta」メキシコ国立写真美術館 Fototeca (パチューカ 2017年) 、「Michiko Kon」 
ミシェル・ソスキネ・ギャラリー (マドリッド 2017年)、「Exposición fotográfica de Michiko Kon」
べラクルス州立大学(ハラパ 2016年)などがある。作品は、東京国立近代美術館、東京都写真美術館、
シカゴ美術館、ジョージ・イーストマン博物館、ヒューストン美術館などでコレクションされている。

7.エリサ マロ  Elisa Malo(1989年・ハラパ市生まれ)
2011年にメキシコシティにある国立エスメラルダ美術大学を卒業。日常の世界をファンタジックに表現している。
その作品は神秘的な世界へと見る人を誘う。最近では2015年から現在に至るまで、ドローイングを中心に
精力的に制作に取り組んでいる。メキシコシティを中心にアメリカやコスタリカ等で作品を発表している。