園原 徹 写真展/Work in the Wildness

2018年5月19日(土)17:30〜19:30 Opening Reception

ー野生の証明は可能か?ー

 小学3年生の時、園原徹は父親に連れられて、長野の冬山へ。そこで、新雪に残るツキノワ熊の足跡がずっと続く美しい光景に出会った。 これが園原の最初の野生との出会いであり、その後の彼の人生を変える出来事だった。そして同じ頃、園原は近所の動物園で、実物の熊と出会っている。人は誰でも自分の中の野生に出会うことがある。彼の場合は、熊との出会いで、自分の中の何かが目覚めた瞬間であった。
 ところで日本人における人と熊との関係について少し考えてみると、不思議な物語や歴史が浮かんでくる。例えば、有名な宮沢賢治の童話 「なめとこ山の熊」や「マタギ」というアイヌの言葉で、冬の人・狩猟を意味する「マタンギ」がなまってマタギとなったという言葉を思い出す。 「なめとこ山の熊」は、熊の気持ちもわかるマタギが、生活のため、やむなく熊の猟をするマタギの物語である。この童話は、宮沢賢治が熊を 獲らないと生きていけない猟師の姿と、その猟師から搾取していく近代資本主義社会に生きる私たちに、ある意味警鐘を鳴らす物語とも読み取れる。 園原は小学校時代に近所の動物園で、檻の中に生きざるを得ない熊を見ていた。その囚われた野生の熊を見続けた園原は、この熊がアラスカの 荒原を走る熊の姿を想像していたという。現在の園原徹の原点だ。大学の時に彼は初めて厳冬期のアラスカに渡る。その後、毎年多くの時間を世界の荒野で過ごし、野生動物や風景を撮影している。カメラという武器で野生の一瞬を切り取ろうとする。動画ではないのだ。園原の写真を見る時、彼が感じた一瞬の野生。この野生を切り取った彼の写真こそ、資本主義社会にどっぷりと浸かってしまった私たちの生活に対する警鐘だし、 私たちの深層に潜む野生を蘇らせる礫となるのかもしれない。
京都場館長・仲野泰生
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クマ。僕がもっとも心を奪われている動物。
幼いころ目にした雪の上に続く野生のクマの足跡。 高鳴る胸の鼓動を感じながら 少しだけその足跡を追ってみたことを憶えています。 足跡はその先にある暗い森の中へと消えていました…… それは今でも頭から離れない光景。 いつしか野生のクマを求めて、 僕はアラスカの荒野に立っていました。 あの時見た足跡はアラスカの荒野へと 続いていたのかもしれません。 やがて、一年の数ヶ月間をテントで生活し、 荒野の中で野生動物の姿を写真に収めるようになり、 それを仕事とするようになりました。
“Work in the Wildness” では20余年にわたり アラスカの荒野で撮影した様々な動物たちの表情に加え、 大自然の姿もまじえて展示いたします。 2メートル×3メートルの大型写真パネルや、 等身大のシロクマ写真、撮影で使用した カヤック、テントやキャンプ用具を ジオラマで展示いたします。
きっと、アラスカの大自然の中にいる錯覚に 陥っていただけることでしょう……
写真家・園原 徹

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園原徹/TORU SONOHARA
1966年長野県生まれ。北海道酪農学園大学卒業。 大学時代に初めて訪れた厳冬期のアラスカ。毎年多くの時間を荒野で過ごし、 野生動物や原風景の撮影を始める。アラスカのみならず中南米、アジアからヨーロッパ各地を放浪。 船の仕事にて世界一周。辺境地のトレッキングガイド、撮影ガ イドも経験する。 旅をした国は35カ国以上に及び、各地で撮影した写真は、新聞、週刊誌、アウトドア雑誌、 カメラ雑誌などに掲載される。Mamiya AFDIIのカタログイメージを担当。 衛星放送にて写真放映。AM、FMラジオ出演。テレビ出演。 環境問題をテーマに大学非常勤講師。各地でスライド・トーク、 写真展も開催している。
<受賞歴>
2001年 富士フォトサロン新人賞入選
2007年 ナショナルジオグラフィック・フォトコンテスト 海外部門優秀賞受賞
ウェブサイト http://dance-with-bear.wixsite.com/toru
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第九弾アート講座/2018年6月3日(日)14:00~15:30(参加費:無料)
第十弾アート講座/2018年7月8日(日)17:00~18:30(参加費:無料) /Closing Party 19:00~