多情仏心なイケメンたち。
本展は私の生まれ故郷である京都での初の個展となります。京都ではおなじみの「仏さま」を、とびきりのイケメンで描いた新作を発表いたします。タイトルの「多情仏心」は「多情で移り気だが、人情に厚く無慈悲なことができない」とあります。気まぐれに私たちを誘惑し、その魅力で虜にさせ、さらに情に厚いなんて….。そんな無敵のイケメン仏を心を込めて描きました。慈愛に満ち、ちょっぴり刺激的な作品をぜひご覧ください。
美術家・木村了子

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「京都で木村了子の日本画を観るということ!」

木村了子、京都出身の画家だ。
 東京藝術大学油画専攻を卒業後、幾つかの契機があり木村は日本画を描き始めた。だが、先ず彼女の作家としての出自あるいは、起源を語るために彼女の二つの事実を述べてみたい。
一つ目は、東京藝術大学大学院の修了作品において、『半地下多目的スペース』というインスタレーションを製作した。野外の不要になった排水用凹地を室内風居室空間にリフォームするプロジェクトである。自らの身体を使い地面を掘り、自分が居住する空間を創出した。
二つ目は、2016東京アートコンプレックスセンターでの個展で一番共感でき、凄みを感じた作品が、映画のために描かれた伊藤晴雨のあぶな絵の模写である。特に襖絵の裏面に描かれた線の息遣いと動き。
 二つの事実から逆照射して木村の作品を観てみると、木村という画家は日本画の歴史観や技法という位相ではなく、作品のコンセプトを具体化・身体化できる能力を持っているのではないか。また、彼女は美術の様々な情報を、作品の中で編集出来る力も持ち合わせているようだ。
 彼女は頭でっかちな現代美術が横行する中で、身体からの気韻生動の線描と岩絵の具のデリケートな色彩を用いて作品を作り上げる。美少年・美男子、いわゆるイケメンをモデルに描く木村だが、彼女の日本画に対する距離の持ち方、俯瞰の仕方こそ評価すべきであろう。
 京都というある意味の日本画の聖地で、木村の作品がどのように見えるのか、そんな試みの展覧会になることを期している。
京都場館長・仲野泰生
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木村了子/Ryoko Kimura
1971年 京都生まれ/1997年 東京藝術大学院修士課程壁画専攻修了
現代東洋の美しい男性(イケメン)をモチーフとした屏風絵や掛軸などの絵画作品を発表。伝統的な日本画の技法や絵画のスタイルを継承しつつ、異性であり愛の対象である「男性」を時にはエロティックに、時にはコミカルに様々なテーマで描き出す。王子様や人魚、ターザンやカウボーイなどファンタジックな男性像が織り成す作品郡は、過去と現在、和と洋が絶妙に交差する独特の画風を形成。絵画制作ほかフィギュア作品や九谷焼制作、映画美術への参加など、幅広い分野で活動。http://ryokokimura.com/