老いたイーグルと語るべきこと

―呼び覚まされるカタチ、未知なる感覚

2019年4月20日(土)〜5月29日(水)

*月曜・火曜休館(4/29,5/6月曜祝日は開館します)

人が絵を描くことについて考える。

例えば、人は描くことで、何処まで自分の最深部まで降りていけるのか?とか。そして線についても考える。何故なら、私にとって今回の京都場で展覧会を開く中津川浩章の絵画は「原初的な絵画」であり、「線の絵画」と思うからだ。紙やキャンヴァス、あるいは壁でも構わない。平面に鉛筆やペンや筆や指で何かを描く。最初の始まりは、点なのか線なのか線の集積の面なのか。また、「線の絵画」と「書」との違いなどについて私の頭の中で、もやもやと考えてしまう。

「線・文字の意味性があるのか、ないのか」「書は絵画ではないのか」とか、「何故、書は海外のアーティストに強い影響を与えたのか」などなど。絵画における線も形を呼び起こし、形を作ってしまう。その呪縛との戦いなのかもしれない。「絵画」と「書」と分断して考えるのではなく、描かれた線の中に込められた精神性と身体性の共通項を感じること、共振する感覚で考えるべきかもしれない。

ところで絵画の成り立ちと線の関係に思いを巡らせるとき、原始の壁画絵画の線と子どもの絵の線を思い起こす。子どもの絵とラスコーやアルタミラやショーヴェの洞窟壁画。「個体発生は系統発生を繰り返す。」(エルンスト・ヘッケル、生物学)太古から睡眠や呼吸など、人の生命のリズムは変わっていないのだ。描くことも生命のリズムに則って描いているのかもしれない。しかし、近代絵画以降、絵画的な制度的な知識を脱ぎ捨てないと、自分の神秘の中に降りていけないのだろう。

中津川浩章の絵画は、私に自分の神秘・最深部に降りていく一つの道筋を垣間見せてくれると信じている。

京都場館長・仲野泰生

「老いたイーグルと語るべきこと」 116.7×116.7cm / Acrylic, cotton cloth
「在るものはない」”There is nothing there” 130.0× 194.0cm / Acrylic, cotton cloth
<京都場アート講座>
●第十六弾・アート講座
「アートを通した様々な社会的な活動をめぐって」
中津川浩章×東ちづる(女優・一般社団法人Get in touch)
4/21(日)16:00~18:00(参加費:2,000円ワンドリンク付)

●第十七弾・アート講座
「表現することをめぐってー文学と美術を横断する」
中津川浩章×田口ランディ(作家)
5/9(木)18:00~20:00(参加費:2,000円ワンドリンク付)

●第十八弾・アート講座
「絵画、美術、表現をめぐって」
中津川浩章×仲野泰生(京都場館長)
5/18(土)18:00~20:00(参加費:無料)
【略歴】中津川 浩章(なかつがわ ひろあき)

美術家・画家として記憶・痕跡・欠損をテーマにブルーバイオレットの線描を主体とした
ドローイング・ペインティング作品を制作。国内外で展覧会多数。
アートディレクターとして障害者のためのアートスタジオディレクション、アールブリュットの
展覧会キュレーション、あらゆる人を対象としたアートワークショップ、講演、
ライブペインティングなど、アート、福祉、教育とさまざまな分野で社会とアートの関係性を
問い直す活動を行っている。アール・ド・ヴィーヴル、工房集、2012、13、14、16年
埼玉県障害者アート展、2016ビッグアイアートプロジェクト、アートディレクター。
2014川崎岡本太郎美術館「岡本太郎とアールブリュット」展キュレーション。
NPO法人アール・ド・ヴィーヴル、NPO法人エイブルアートジャパン、一般社団法人ゲットイン
タッチ理事、一般社団法人Art Inter Mix代表。元和光大学非常勤講師。